老眼や近視の過矯正(強すぎ)・遠視の低矯正といった問題以外で近くが見づらいと言うケースがあります。
それは輻輳不全(寄り眼が苦手な眼)というケースです。
人間の眼は特に近くのモノを見る時に「ピント調節」と「寄り眼(輻輳)運動」が行なわれます。
輻輳不全とは、簡単に言ってしまうと「寄り眼が苦手・出来ない」ために左右の両眼を揃えて見ることが出来ない・合わせられても維持することが苦手で見づらくなるというケースです。
これはご自分で自覚のある方もおられますが、ペンなどを使って簡単に自分でも調べることが出来ます。
片手でペンなど目標になるモノを持ち、手を伸ばした状態で自分の鼻先まで近づけていき、どれぐらい近づけたら目標のペンが2つに分かれずに見られるか?で分かります。
(輻輳不全を見分ける目安)
*あくまで目安で実際には両眼視機能検査で詳細に知らべることが必要です。
①鼻先まで問題なく2つにペンが分離せずに近づけて見えることができる=輻輳力(寄り眼の力)は充分
②頑張れば鼻先まで2つに分離せずに近づけることができるが気を抜くとすぐにペン先が2つに分離して見える=寄り眼(輻輳力)やや弱い・特に持久力に問題あり
③鼻先まで近づけられず、眼の前から20~15㎝くらい手前で分離してしまう=輻輳力は弱い
④手を伸ばしている状態ですでに2つに分離している=輻輳力かなり弱い・輻輳出来ていない
また輻輳不全の方には以下のような見づらい以外の症状もあります。
・本・パソコン・スマホなどを見ているとすぐに疲れる
・近くの文字が2重にダブるように見える
・読んでいるところを見失う
・肩こりなどがある、酷くなると偏頭痛がする
・近くを見る際の集中力が続かない
などなど・・・
②、③、④に該当し、更に上記の様な症状がある場合は輻輳不全・寄り眼がかなり苦手な方と言えますので対策が必要になりますので両眼視機能検査で詳細に眼の状態を調べることを特にオススメします。
また①の方でも別の問題を抱えている場合もありますので何かしらの不調があれば両眼視機能検査を含めた詳細に調べることは大切です。
輻輳不全(寄り眼が苦手)が原因の場合であると、近視・遠視・乱視・老眼の度数だけを調整しても改善されません。
①プリズム度数メガネで寄り眼の動きをアシストしてあげる
②ビジョントレーニングで寄り眼の力・持続力を整える
ことが必要になります。
今の時代は個人的には適正な度数調整+αでメガネに寄り眼を助ける機能を組み込んで症状を緩和をしていくことの方が良いと考えます。それくらいに今の環境は眼にとって過酷なのです。
そして矛盾をしていますが、輻輳不全気味の方で近視の方は総じて度数を弱めると輻輳(寄り眼)に負荷がかかり逆に疲れ眼につながったりすることがあります。
(*ピント調節機能と寄り眼の運動機能が連動している為です。詳細な説明はまた今度)
「度数を弱くした方が楽ですよ」といわれて近視度数を弱くしたら余計に疲れるようになったと言う方は、「ピント調節によって起こる寄り眼が解除されてしまい余計に負担がかかってしまう」ことが原因です。(個々の斜位の状態や、眼の眼球運動筋の状態や連動を把握していない)
強すぎる近視度数はいけませんので
度数を落としてピント調節筋負担を減らすことも大切ですので、こういった方は度数を弱めたら必ず寄り眼運動を助けるプリズムレンズの設定もしないといけないのです。
簡単な検査だけでは分からないので安易に度数を弱めるのも問題がありますので、お気をつけ下さい。
実は私自身も以前はこの輻輳不全気味の眼でした。
大きな外斜位があり、寄り眼は出来ますが維持するスタミナが弱く文字を追いかけるのが苦手、本読むとすぐ疲れる、また肩こりなどもj酷く、また酷くなると頭痛などにも悩まされていましたし、近方視を無理する作業を続けると白目が出血・充血するなどもありました。
現在は、「寄り眼を助けるプリズムレンズを組み込んだメガネ」と「寄り眼のトレーニング」をしてから大きく改善をし、疲れ眼や頭痛、白目の出血など起こらず快適に過ごせています。
また輻輳不全(寄り眼が苦手な方)には眼のトレーニングも大切です。
これは輻輳不全は最も眼のトレーニングで効果が出やすく改善されやすいからです。
トレーニングとしては上記で行なったペンを鼻先まで近づけたり離したりの往復運動をする、もしくはブロックストリングスという道具を使って寄り眼の運動を促します。
また、どうしても寄り眼が上手く出来ない場合は、最初に眼が動きづらいほうを動かすことから始めてみると良いです。
動かしやすい眼を片手で隠して、動かしづらい眼を動かして寄り眼の運動をしてあげて、慣れてきたら両目で寄り眼の運動をするようにしていくと良いです。
あまり最初から無理をしていくことはお勧めしません。少しずつ負荷をあげていきましょう。
輻輳不全の状態にもよりますが、メガネとトレーニングを併用してしっかり行っていくことで、早い方では1ヵ月くらいで効果が現れてきて輻輳不全による近くの見えづらさという症状はかなり改善してきます。
*注意‼中高年以上のご年齢の方は、トレーニングで無理に素早く眼球を動かすと眼を傷める原因(硝子体剥離や網膜剥離など)になりますので急激に行なわないで下さい。しっかりと指導を受けてから行なって下さい。
案外、近くが見づらいのは度数の問題ではなく「両眼視の機能(両目の運動機能)」の問題だったりもします。
ただし、自己判断で間違った方法でトレーニングを行うと逆効果になるケースもあります。
個々で眼の使い方や斜位のズレ方向・眼球運動の余力などは全く違います。
しっかりとご自身の両眼視の状態(斜位や眼球運動筋の力やピント調節の力)を調べて把握してから行うことがとても大切です。
当店では、他にない度数測定解析機器や、ドイツ製の特別な視力表を使用してドイツ式両眼視機能検査と米国式両眼視機能検査の両方で測定していきますので、少し詳細にお調べることが出来ます。
またメガネをご購入の皆様には、トレーニングの方法・トレーニングプランの提案や、トレーニング器具の無償貸し出しを行っています。定期アフターフォローもお受けいたします。
お気軽にご相談を頂ければと思います。
*眼位のズレとプリズムメガネによる対応による参考例が書いてあります。
当店では、最新の測定解析装置を使い、通常の測定では分からない見づらさの原因なども探り、尚且つ、ドイツ式・米国式と両方の「両眼視機能検査」で見る機能を詳細に測定をしていきます。何処に行っても原因が分からない見え方でお困りの方は是非ご相談いただければと思います。
このような情報が、少しでも皆様のお力添えになれば幸いです。
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