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執筆者の写真Tomohiro Ozawa

「5m距離の検眼」と「仮枠検眼」の手技にこだわる理由は「自動機械式検眼は不正確な度数になりやすい」から

更新日:5月29日

当店は最新の機器(波面収差測定機)を使用しながらも、測定時に頑固に「手技」での測定にこだわっている部分もあります。


最近、多くのメガネ店で使われている90cm程度の距離で測定する省スペース自動機械式検眼を使わないことです。


90cm程度の距離でも疑似的に5メートル先に視力標が見えるように設計されてはいますが、視力表自体は近くにあるので「眼が無意識で不必要な調節をしてしまう恐れがあり不正確な度数測定」になりやすい傾向にあります。(近視の過矯正・遠視の未矯正など)


 

視力表までの距離を5m以上とることの重要性

 

人は物を見るときに眼の中で調節をしてピントを合わせますが、正確な検眼を行うためには「いかにピント調節機能を働かせないか!」が重要となります。(*ピント調節機能が働くと近視の場合は過強性(強すぎる度数)・遠視の場合は未矯正になりやすい)


本来は眼の緊張を解くためには無限遠方(∞メートル)を見させる必要があります。


ただ現実的には室内で無限遠方で測定を行うことは不可能なので、メガネレンズ度数の最小単位0.25Dの焦点距離、つまり4メートル以上の距離を超えていれば調節の介入による度数への影響は少ないとされています。


現在主流の90cm省スペース検眼が絶対ダメか?というと、短い距離でも5メートル換算で測定できるように工夫されているので絶対ダメと言いませんが、余程、調節機能を緩める雲霧法を行わない限り、やはり眼の調節が入る可能性は5m距離よりも高く過矯正メガネなどになるリスクを抱えやすくなります。


当店のように実際に5メートル以上の距離をとって測定を使うことがやはり理想とされています。


また特にドイツ式ポラテスト法を行う両眼視機能の測定でも5m以上の距離があるか?ないか?では遠方での両眼視の測定結果(斜位や輻輳・開散力)に大きな違いとなってくるケースが多くあります。両眼視機能検査でも5mの距離は大切です。


当店では視力表から5mの距離をとり、更に壁面を視力表と同じ色に統一し、無用な視覚刺激が起こらないように配慮しています。またZeissVisuscreen視力表自体もスクリーンの大きさが5m先で見た際の網膜中心窩の大きさに準拠し最適化され、また内枠に対して、外枠の余白が比較的広いので調節機能を誘発する視覚刺激にならないように配慮されています。


 

仮枠フレームを使った測定の重要性

 

もう一つの拘りが、多くのメガネ店では「自動検眼システム(フォロプター)で行い、最後の見え方の確認だけ仮枠」という検眼手法を取られていると思います。


しかし、当店では逆で「ほとんどの検眼(屈折矯正・ポラテスト)を仮枠で行い、米国式両眼視機能検査を手動のフォロプターシステムで測定」という検眼手法を取っています。


では何故、機械式自動検眼システム(フォロプター)を使わないのか?


答えは簡単です。仮枠測定の方が正確に測定出来るからです。


自動検眼システムのメリットは、なんといっても「簡単」という事です。

単純な近視・遠視・乱視・老眼だけを測るのであればボタンを押していくだけで誰でも簡単に短時間で測定出来ます。


一方デメリットは「機械近視」と呼ばれる調節介入が眼に加わる可能性が仮枠検眼と比べて高いことです。


目の前に自動検眼システムの機械があることと、「機械を覗いて見ている」ことが無意識的に視覚刺激となり仮枠検査よりも-0.25~0.50D分調節が入りやすいことが指摘されています。調節が入った状態で測定した値は信頼度が低く「過矯正」と呼ばれる強すぎる度数になって眼に負担を掛けるケースが多くあり、疲れ眼や見え方の不調につながることがあります。


特に、「自動検眼システムと省スペース視力表の組み合わせは最も信頼度が低い」とされているので注意が必要です。


仮枠検眼のメリットは測定時の「正確さ」ですが、仮枠検眼のデメリットは測定の「難しさ」です。


全ての工程を手作業でやる必要があるので、検眼に対する深い知識が必要になる上に、手際良くやらないと非常に時間がかかってしまいます。


反面、検査法を理解できていれば、仮枠検眼での手技の方が、頭位置や顔の傾きなどに細やかな配慮も出来、調節の介入も受けづらい状態で正確な測定が可能です。


また当店では、必要に応じて両眼開放状態での測定や、片眼遮蔽での測定時においても一般的に使われている完全遮蔽してしまう黒ではなく、「半透明なすりガラス状」の遮蔽板を使い、少しでも外光を取り入られるようにして、なるべく日常視に近い自然な状態で測定できるように配慮しています。


また、ドイツ式両眼視機能検査「ポラテスト法」は仮枠検眼が前提となっておりますので、フォロプターシステムを使うと数値の正確性が誤差が起きやすく精度が落ちます。


自動検眼システムの方が”見た目が良い”ので、お客様によっては自動検眼システムの方がハイテクな機械で、ちゃんと測定してると感じる方もいるようですが、実際にはアナログなやり方の方が最も正確に測定可能です。




しかし、当店もフォロプターという機器を全く使わないわけではありません。


米国式21項目両眼視機能検査と呼ばれる検査手法はフォロプターを使った手法が前提に作られていますので当店も必要に応じて使用します。


それでもあくまで機械電動式ではなく手動式の検眼フォロプターを使用して検眼を行います。


これは機械式電動フォロプターは「輻輳力」や「開散力」といった眼の機能を測定する時に使うロータリープリズムという機械機構の動きが不自然で測定値の正確性に欠くので当店では敢えて手動式フォロプターで使って行っています。


実際に当店も自動機械式フォロプターを使っていた時期があり、数値誤差の起きやすさを体感している上での判断です。(使用せずに述べているわけではありません)




最後にもう一つ、ここ最近の傾向としてスマホなどの近い距離を見続ける時間が長いために年齢関係なく多くの方が「ピント調節機能の動きが悪くなっている」ケースが増えています。


特に近くから遠方を見た時に瞬時にピントが合わない(ピント調節筋が弛緩しづらい)という傾向がありますので、余程、調節機能を雲霧法でしっかりとコントロールして測定をしないと多くの場合で「過矯正」という強すぎる度数になり、気づかずにそのままメガネやコンタクトを作ってしまうと、後に見え方の不調を誘発しやすくなります。(疲れ眼や霞み眼、肩こり・片頭痛など)


こういった傾向からも、省スペース自動機械式検眼機は、調節機能の介入が起きやすい測定になりやすいことを知って頂きたいと思います。


「過矯正」になりますと、ピント調節機能や、その他の眼の機能に負担がかかり見え方の不調につながりやすくなりますのでご注意下さい。



当店は「見る」ことは体の一部であり、皆さんが日々を健康で明るく過ごされる上でも不可欠なものだと考えています。


皆さんの健康や日々の暮らしに関わることだからこそ、皆様の生活を損なうことのないように、プロとしての責任をしっかり果たし、またお悩み等があれば少しでも多く解消・解決し、お手伝いすることが私たちの仕事だと思っています。


見ることで困られずに、皆さんが日々変わらず「健康で明るく暮らして頂ける」ことが大きな「目的」であり、そのお手伝いができれば、それが私たちにとっても何よりの喜びでもあります。


そのために、日々、試行錯誤を繰り返してもいます。





当店では、最新の測定解析装置を使い、通常の測定では分からない見づらさの原因なども探り、尚且つ、ドイツ式・米国式と両方の「両眼視機能検査」で見る機能を詳細に測定をしていきます。何処に行っても原因が分からない見え方でお困りの方は是非ご相談いただければと思います。またより正確なメガネをお作りしたいとご希望の方もご相談ください。


このような情報が、少しでも皆様のお力添えになれば幸いです。


〜ご来店予約について〜

【電話予約】 営業日の 10:00〜18:00 の時間でお受けしております。 検眼中などは電話に出られないこともございますのでご了承下さいませ。 ご来店希望日の当日または前日にご連絡いただく場合は必ず【電話予約】でお願いいたします。

メガネの尾沢Tel : 0531 - 22 - 0358


「夜間の見え方を完全再現する特別測定」をご希望の方へ

夜間の見づらさに困られていらっしゃる方で、完全暗室でより正確に測定をご希望の方は時間外営業時間の「19:00~21:00」の時間帯での特別測定も承ります。お日にちでご希望に添えないことなどありますので必ず事前の予約をお願い致します。

また時間外測定料金として眼鏡作製時でも¥3300-を別途頂きますのでご理解お願い申し上げます。

【メール予約】 メールでのご予約は当ホームページ内にある「お問い合わせ」フォームからお受けしております。必要事項を入力していただいて送信してください。 送っていただいたメールの確認ができましたら返信させていただきます。 眼鏡ご購入のご相談の際に視力検査をご希望される場合は明記していただけると幸いです。


メガネの尾沢(尾沢視覚研究センター)

住所:愛知県田原市田原町新町48-2 

Tel : 0531 - 22 - 0358

 営業時間:9:00~ 19:00

定休日:火曜日・第4日曜日



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