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子供の近視進行抑制について最新の情報

先日、眼鏡展示会のために東京に行ったのですが、その際にZeissビジョン本社にも足を運んで「子供の近視進行抑制についての最新情報」を勉強してきましたので皆様に情報を共有をしたいと思います。


「現在行えること」というよりも、数年先の将来的に今後期待できる方法についての情報が主になりますので、ご興味のある方はお読みいただけると幸いです。


近年、子供の近視の低年齢化が世界的に進んでおり近視人口が増加しています。

これは日本だけでなく、民族的にも「遠視」の傾向が多い欧米諸国においても近視の方が増加傾向にあり、世界的にみても「近視人口の増加」が進んでいる状況です。


以前に比べて「見る環境が変化をしていることが要因」でもありますが、すでに各国では様々な対策や研究が進められているので、その辺りをご紹介していきたいと思います。


 

視力低下が起きる近視の原因

 

まず視力低下・近視が起きる要因について説明をさせて頂きます。完全に解明をされているわけではありませんので現在考えられる有力な


・遺伝因子 

近視は遺伝的な要素が強く、両親が近視である場合は、その子供も近視になりやすいと言われています。遺伝的な影響により目の形状や焦点を合わせる力が異なることが近視の原因となります


・環境因子 

一昔前に比べても見る環境は大きく変化しました。特に・・・

・近くのものを見る時間が長い:長時間の読書やスマートフォン、コンピュータの使用などで近くのものを見る時間が増えると、目のピントを合わせる力が過度に働き、近視を進行させることがあります。


・屋外活動の不足:屋外での活動が少ないと、遠くのものを見る機会が減り、近視のリスクが高まることがあります。最近の研究では、屋外での自然光が目に良い影響を与えることが示唆されています。


遺伝的な要素も大きいと言われておりますが、近年の世界的な近視の方が増加していることからも環境因子の影響が大きなウエイトを占めてきているとも言えます。


 

どの様に近視になってしまうのか?近視進行ののメカニズム

 

子どもの近視は、主に眼球が楕円形に伸びてしまう(眼軸長が伸びる)ことで、ピント位置がずれることにより生じることが主な原因だと分かってきました。


これは長い時間近くを見ることによって、網膜に焦点を合わせ続けられずにズレが起きてしまう事で伸びてしまうと言われています。


これを「調節ラグ理論」と言います。

しかし従来は眼の中心部分だけが影響を与えているのでは?と思われていましたがどうやらそれだけではないようです。


最近ではそれだけではなく「軸外収差理論」と呼ばれる理論が近視の進行に大きな影響を与えているのではないか?という研究結果がでてきました。

これは近くを見る際に眼の中心部分だけでなく周辺部分の焦点のズレが眼軸を伸ばす要因になっているのではないか?という説です。実際に眼の中心部のズレだけでなく、軸外収差を抑えることで近視の抑制効果が得られているなどの結果が出ています。


眼の中心部分だけでなく周辺部分のピント合わせのズレも近視化の要因?という理論
眼の中心部分だけでなく周辺部分のピント合わせのズレも近視化の要因?という理論

基本的には「近くを見続けること」で起きることに変わりないので長時間の近方視は避けることがおすすめです。


 

世界的に行われている近視進行抑制の研究ついて

 

近視人口の増加に伴い世界各国で行われている「近視の進行抑制」に関する研究がおこなわれています。その中で、現在エビデンスが得られている近視進行抑制効果のている例を述べていきたいと思います。(注:あくまで研究段階ですので実際に認可されているもの、認可されていないものが含まれます。認可されているモノも多くは保険診療ではなく自由診療となります。)



・低濃度アトロピン点眼薬

低濃度アトロピン点眼薬で「調節」を弛緩させることで、また近視を促す眼への細胞(受容体)へ刺激を減らすこともできると言われています。


デメリット

・保険適用でない自由診療となるので診療費が割高になる

・点眼薬の辞め時が分かりづらい

・軽微な副作用が起きる場合もある



・軸外収差を抑えるメガネレンズ

日本では認可がおりていませんが、特殊なレンズ構造で軸外収差を抑える効果を持たせたメガネレンズです。また副作用が起きづらいのがメリットがあります。


デメリット

・他の治療に比べるとやや近視抑制効果が低い傾向にある。

・いつ認可が降りるのか?未定



・オルソケラトロジー

夜間に特殊なハードコンタクトレンズを使用することで近視を矯正する方法です。


デメリット

・取り付け・フィッティングなどで取り扱いが難しい

・角膜不整乱視の増加・角膜疾患のリスクがある



・赤色光療法

赤色光を眼にあてることで網膜の血流や代謝の増加により一定の近視の進行を抑える効果があったという事です。


デメリット

・毎日行う事で効果が得られる

・まだ研究段階で安全性のエビデンスが完全に取れていない



また以前から言われている「メガネ度数は低矯正が良いのか?完全矯正が良いのか?」に関しての議論は最新の研究ではどちらに対しても明確な差が生まれづらく「明確な答えは言えない」という事だそうです。



 

今出来る近視進行抑制・予防の対策

 

上記で述べたことに関しては、まだ研究段階であり日本でも承認されていないモノが数多くありますので、いま私たちが行えることも少し述べておきます。


①近くを見る作業を30分ごと行ったら中止して眼を休める(遠くを眺める)

近くを見ることでピントを網膜上に合わせ続けられずに焦点ズレてしまう事で眼軸が伸びてしまう¥い近視が進行しやすくなるので、近くを見る時間を減らすことが近視の進行抑制につながります。目安としては30分ほど近くを見る作業を続けたら中止をして、なるべく遠くを眺めることで眼筋(ピント調節筋・眼球を動かす筋肉)をリラックスさせてあげてください。



②屋外で遊ぶ時間を増やす

これも近くを見る時間を減らす効果があるのと、太陽の光を浴びることで近視の抑制効果を得られるのではないか?と言われています。

日常で過ごす屋外時間に対して更に40分ほど追加することで3年間で近視の発生が相対率23%減少、子供が一日80分の屋外で過ごした場合は近視の発生率が約52%減少したという結果があるそうです。屋外で過ごすと言っても「屋外の日陰でスマホの画面を見る・携帯ゲームをする」こととは違いますので注意してください。現代においては中々難しいとは思いますが「外で遊ぶ」ことを意識してさせてあげることも大切です。




(まとめ)

今回のセミナーでも言われておりましたが、今後1つの方法を選ぶだけでなく複数の方法を組み合わせることで今後効果がより得られるのではないか?と期待されています。

特に「低濃度アトロピン点眼薬」に、副作用の少ない「軸外収差を抑えるメガネレンズ」のように併用するのは1つトレンドになってくるのではないか?という見解もあるようです。

特にメガネの良い点は副作用が起きづらい・角膜などにダメージを与えづらい・問題が起きてもメガネ自体を外してしまえばよい、という利点があるので低年齢時では将来的なリスクを考えてメガネが最適なのではないか?と考えられます。


また、これらの方法について「近視を治す方法」「絶対に近視にならないための方法」「絶対に進まない方法」ではありません。あくまで近視度数の進行を抑制する・遅らせる方法です。


低年齢で近視を発症すると将来的に近視度数が落ち着いてくる大人になるまでの間に「強度数の近視」になるリスクは高くなります。強度近視になればなるほど生活面でも不便さが増しますし、将来的な眼病リスクも高くなります。低年齢での近視化が起きた際に、こういった治療を併用していくことで強度近視を避けることで将来的な生活面の不便さ・眼病のリスクを抑えることにつながることになります。


また、その他にも様々な研究がなされているという事ですので、新たな「近視進行抑制方法」などが情報共有させて頂きます。


この情報が皆様のお役に立てればと思います。







当店では、最新の測定解析装置を使い、通常の測定では分からない見づらさの原因なども探り、尚且つ、ドイツ式・米国式と両方の「両眼視機能検査」で見る機能を詳細に測定をしていきます。何処に行っても原因が分からない見え方でお困りの方は是非ご相談いただければと思います。またより正確なメガネをお作りしたいとご希望の方もご相談ください。


このような情報が、少しでも皆様のお力添えになれば幸いです。


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