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執筆者の写真Tomohiro Ozawa

上下斜位による見え方の低下・不調・疲れ眼

更新日:2021年7月18日

「斜位」という左右の視線のズレが誰にもあります。


人は常にその左右の視線のズレを修正しながら人は見ているのですが、その視線ズレの種類やズレ量の大きさは人によって様々です。


この「斜位」は、近視・遠視・乱視といったモノとは違い「両眼を上手に使って視ることが出来るか?」という両眼視の機能に影響を与えるものです。


時に近視・遠視・乱視は正しく矯正をされていても、この両眼で見るという部分で問題を抱えていると「視力は良いのに見え方の不調を訴える」ケースが多々あります。また疲れ眼などの原因にもなり、ひどい場合は体の不調にもつながることがあります。



実際に今回来られた方も、近視・乱視といったモノはほとんど変化がありませんでしたし、単眼での視力はそれほど悪いものではありませんでした。


ただ両眼で見ていると、視力が不安定、疲れ眼、また特定の距離をずっと固視しているとぼやけて見えるなどの見え方の不調を訴えていました。


これは単純な視力的な問題ではなく、両眼視の機能や視覚機能の部分で問題があるということです。


案の定、詳しく測定をしていくとやや大きな上下の視線ズレがありました。


これを修正するレンズを使用してあげると、両眼での視力も上昇・安定し、逆に近視の度数を弱めても十分な視力が出る、またいつも無理して視ているという感覚もだいぶによくなられたようです。


ご本人は不思議がられておりましたが・・・



ただ、この程度のお話であれば、当店では特に珍しいケースではないのですが、

実は今回も最初は通常の視線ズレの測定をしても、この上下の視線ずれを数値として測定することが出来ないという、やや特殊のケースだったので紹介をさせていただいております。


「視線のズレ(斜位)を測定する」


普通は数値として測定されないのであれば、そのまま見落とされてしまうのですが、


最初にお話を聞いていた内容、角膜形状・屈折力解析装置の測定値、眼の周りの外見的な特徴などから、最初の時点で「おそらく上下の視線ずれがあるだろう」という予測が出来ていたので測定の方法を工夫しながら測定をすることで隠れていた上下の視線ズレを導きだすことが出来ました。


この辺りは、経験値と、通常の機器では測定出来ない詳細なデータの蓄積がモノをいう部分だったりします。



でも「なぜ最初は数値として測定されなかったのでしょうか?」


この方は両眼を揃えて矯正する眼の力・筋力が非常に強いという特徴を持っている方でしたので、普段から視線のズレを頑張って修正しているので、ちょっとやそっとでは「視線ズレの修正が解けない」というタイプの方だった、というのが原因だと思います。


視線のズレを自力で修正できない場合は、常にモノが2つに見える「複視」という状況に陥ってしまうので、人はそれを避けるために無意識的にそれが起こらないように外眼筋と呼ばれる眼に付随する筋肉の力を使い修正・維持しようとします。


今回のお越しの方は、なまじ眼の力・筋力が強いために、視線の修正に関しては他の方に比べても負担量は多いのですが、無意識的に常に必死に修正・維持しようと眼の力を使っていた・・・


それが日常的に眼に必要以上に力を込め緊張を解けない状態が癖のようになっていたので


簡単な斜位測定の方法では直ぐにはあらわれなかった・・・。ということだと思われます。


両眼視の検査ができるからといって単純なズレだけを測定をしているだけでは、この辺りは理解が出来ない領域になってきます。(日々勉強ですね・・・)



また、こういったことを書くと


自力で「修正する力・筋力が強い」のであれば「問題はない」という考え方もあるのですが、この考えは時代に即して変化も必要だと思います。(必ずしもではありません。)


この方は「明らかに見え方に不調」を訴えている、また現代の視る環境を考えればメガネの度数で対応をして眼の負担を減らすことのほうが大切になります。


その上でトレーニングが必要であれば並行して行っていけばよいと思います。


今まで通りの考え方では通用しない視環境になってきています。


従来の考えに固執するのではなく柔軟に対応をすることも必要な時代になってきています。



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