前回はドイツ式ポラテスト法の概要と測定環境についてお話させて頂きましたが、今回は実際にどのような測定をしていくのか?を紹介していきます。前回の記事
先ず両眼視機能検査は、基本的に屈折矯正(近視・遠視・乱視の補正)を行った上で行います。屈折矯正は見え方の基本ベース部分になりますので最初に必ずこちらを測定致します。
視力以外の眼からの情報から人間が生きる上で必要な距離感や立体感などといった高度な視覚情報処理の状態を調べる・測定するための検査が「両眼視機能検査」です。具体的には以下のようなことを調べます。
・斜位・斜視(視線のズレ)
・不等像視(左右の物の大きさが違って見える)
・抑制(片目を使っていない状態)
・立体視
ドイツ式両眼視機能検査「ポラテスト法」は、通常の屈折矯正を行う測定を言えた後に通常の視力表の視標ではなくて下記の様な特殊な表を使用していきます。
ドイツ式 ポラテスト法 視力表と測定する意味
①十字テスト(運動性斜位)
片眼では十字の「縦棒だけ」が見える、もう片眼は「横棒だけ」が見える状態にして、十字の形からズレが生じるか?を確認することで「斜位(視線ズレ)」の測定を行います。十字テストは運動性融像のみを使用する「外眼筋」と呼ばれる眼を動かす筋肉のバランスの問題による運動性の斜位・ズレを測定することを主目的にしています。ずれが生じている場合は「斜位」が存在し、プリズムレンズを使用して十字の元の状態にすることで「どの方向に、どのくらいの斜位(ズレ)が生じているのか?」を測定しいきます。運動性融像を利用した検査なので感覚性の変化を伴う「固視ズレ」がある場合では測定が難しいですが、抑制・視標の動揺(ふらふら動く)が起こるので感覚性の問題への手がかりになります。
②第一 時計テスト
中心部分と周辺部分に強い融像刺激を作り出すことで両眼視の状況、主に固視ズレなどの感覚性の変化や感覚性の斜位を確認する検査です。
両眼共に中央の円と黒い外枠を見せつつも、右眼には真ん中の針の部分だけ見えて目盛りは見えず、左目は上下の目盛り部分だけが見えて針は見えない状況を作り出して確認する測定です。十字テストで視線ズレの補正した状態で確認を行い、視標のズレが生じている場合は「固視ズレ(感覚性変化)」が生じている状態となります。更にプリズムで補正を行うことでしっかりと「黄斑部中心禍」に視線が合わせられるようにし固視ズレを防ぎます。
*「固視ズレ」とは?
「斜位」によるズレが大きかった、または視線ズレの補い方が上手く出来ていない場合、何となく一つに見えるというところで視線のズレを補うのをやめてしまい、眼の中で視力が最も出る「黄斑部中心窩」から少しズレた状態で見てしまっている状態をいいます。最も視力の出る部位を使用せずに見ているので正しい立体感や距離感が上手く行えておらず、日常生活でも、モノにぶつかりやすい、つまずきやすい、運転時の見誤りによる事故などが起こりやすくなります。また左右の眼の情報がボヤけた状態で脳へ送られてきますので、脳内で余計な補正処理が入るので疲れ眼や眼精疲労の原因にもなったりします。
③第二 時計テスト
上下方向・横方向の斜位を同時に測定することが出来ます。第一テストと同じく中央の円と黒枠は両眼で見せつつも、右眼には真ん中の十字だけ見える、左眼は上下左右の目盛りだけが見えるようにして測定をします。時間の経過とともに眼の緊張が緩和した際などに現れ顕在化される直ぐに出てこない「隠れた斜位」を確認・補正するテストです。
また斜乱視という斜め方向に軸を持つ乱視を補正することで現れる光学的な回旋斜位や、本能的斜位の測定にも使います。
④第二 立体視テスト
上下にある三角形が横ずれを起こしているか?を調べる測定と立体視を確認する検査です。また長期間、斜位を補正されずに「固視ズレ」が固定化してしまっていないか?などを測定していく際に参考になる検査でもあります。
⑤コの字テスト
左右に向き合ったカタカナのコの字のようなチャートを見てもらうことで両眼視の状態を測定します。上下斜位の測定・バランステスト等にも使われますが、左右で度数差が生じている方で「不等像」と呼ばれる左右の網膜像に映っている映像の大きさに違いが生じていないかも調べます。左右のコの字の大きさに違いが生じている場合は、網膜像の大きさの違いが生じているので頭の中で右眼と左眼の情報が脳内で一致しないので両眼視を阻害します。*写真の映像は実際に「不等像」が起きている場合の見え方です。不等像に関しての対応はコチラを参考にしてください。
主要なドイツ式ポラテスト法は以上ですが、Zeiss Visuscreenは、この他にも様々なポラテスト視標があり「精密立体視」視力表(どれだけ細かな立体感を見分けられているのか?)や、左右の度数のバランスをとる視標など数多くの視標が備わっています。
また実際にこの「Zeiss Visuscreen」視力表を使用して感じることは、
5m以上の距離をしっかり確保する重要性と厳格な基準に即した正しい視力表を使うことの大切さを再認識したことです。
5mの距離をしっかりと確保することと「Zeiss Visuscreen」の他社の5m視力表とも明らかに作りへの拘りも違い、視力表の大きさ自身が無用な刺激を与えない大きさになっている
、視標を表示するディスプレイの大きさが、眼の網膜中心窩の大きさを考慮されていることからも
メガネ度数測定・視力測定で、最も大切で基礎的な事でもある
①無用な調節機能の介入を防止
②両眼視機能の測定にも余計な刺激の介入の防止
につながっていると実感しています。
(今までの視力表が測定結果の誤差に大きく影響を与えていたことも実感しましたので視力・両眼視における斜位の測定などの計測値の正確性と安定性が格段に向上しました。)
ドイツ式両眼視機能検査が「絶対に全て正しい」ということはありませんが、視力表の新調と測定環境を改めて「基準に乗っ取って正しく測定する」ことの大切さに気づかされました。
ただ「両眼視機能検査」や「新しい機器」を使うことは、あくまで「目的」を達するための「手段」です。
「見る」ことは体の一部であり、皆さんが健康で明るく暮らしていくために不可欠なものだと考えています。皆さんの健康や日々の暮らしに関わるからこそ、皆様の生活を損なうことなのないように、専門家・プロとしての責任をしっかり果たすためにも皆さんに役立てるようにしていきたいという想いからです。
当店では、最新の測定解析装置を使い、通常の測定では分からない見づらさの原因なども探り、尚且つ、ドイツ式・米国式と両方の「両眼視機能検査」で見る機能を詳細に測定をしていきます。何処に行っても原因が分からない見え方でお困りの方は是非ご相談いただければと思います。またより正確なメガネをお作りしたいとご希望の方もご相談ください。
このような情報が、少しでも皆様のお力添えになれば幸いです。
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「夜間の見え方を完全再現する特別測定」をご希望の方へ
夜間の見づらさに困られていらっしゃる方で、完全暗室でより正確に測定をご希望の方は時間外営業時間の「19:00~21:00」の時間帯での特別測定も承ります。お日にちでご希望に添えないことなどありますので必ず事前の予約をお願い致します。
また時間外測定料金として眼鏡作製時でも¥3300-を別途頂きますのでご理解お願い申し上げます。
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