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  • 執筆者の写真Tomohiro Ozawa

「波面収差測定機」を利用した科学的で詳細なメガネ度数測定について

更新日:5月4日

当店は、波面収差を利用して詳細に測定出来る測定機器「OPD-SCANⅢ」を利用して、メガネ度数測定を行っています。



一見すると何処にでも置いてある「気球の絵が見えると機械」と変わりないように見えますが、中身は全くの別物になります。


通常のオートレフ機では、簡易的なメガネ度数・黒目のカーブを測定(ごく一部の上位機種のみ)出来るでのみですが


OPD-SCANⅢは、メガネの度数以外に見え方に影響する様々なデータが得られます。

黒目全体の度数分布、眼内の度数分布、瞳孔径の計測による昼夜の度数の変化、眩しさへの影響、眼の解像力の把握など、通常では得ることの出来ない様々なデータを得ることが出来ます。


今回はOPD-SCANⅢのデータを何に利用しているのか?を少し紹介をしていきたいと思います。


①詳細な乱視の測定

乱視度数の測定は実は深く掘り下げていくと難しいケースがあります。これは通常の乱視測定方法(ファンダイヤル法やクロスシリンダー法など)では把握が出来ません。

OPD-SCANⅢは乱視度数に関しても角膜(黒目)の形状 眼内レンズの形状 まで把握した上で乱視度数測定の検査をしていきます。緑丸部分が機械がはじき出した乱視度数です。赤丸部分は黒目の乱視、青丸部分が眼内レンズの乱視となります。図のケースだと角膜乱視と眼内乱視が綺麗に打ち消しあって乱視度数が発生していないと機械が判断をしています。これらのデータを参考に更に自覚測定を行って詳細に乱視度数を決めていきます。(機械の度数はあくまで参考となりますので必ず自覚測定も行います)

OPDの良い点は角膜乱視と眼内乱視の数値(形状)が具体的に測定・把握出来ますので、理論値を超えるような数値が測定されている場合は、後日、乱視度数が変化する可能性が高いなどが予測でき、測定した乱視度数の信頼性がどの程度高いか?の判断にも使えます。「乱視度数を入れると慣れない」というのも、こういったケースが組み合わさっている場合があります。



②昼間・夜間時の見え方の影響(光のコンディションによって見え方は変化する)


上の図は昼間時に瞳孔径が縮瞳をしている度数と、夕方・夜間時の散瞳をしている度数を表しています。*「3.00㎜と記載されているのが昼間時の縮瞳をしている時の度数・「薄暮視」と記載されている所が夕方や夜間時の散瞳(この場合は約6.30㎜)をしている時の度数となります。上の図では昼間と夜間ではメガネ度数としては1段階(0.25D)程度の度数差が生じることになります。(但し、1~2段階程度の差であればそれほど昼間・夜間の見え方の違いなどはあまり影響を受けていない場合が多いです。)

これらのデータは、人間の眼は常に一定の度数ではなく、光のコンディションによる瞳孔径の変化や眼内レンズの動きによって度数の変化を起こしていることを表してくれています。

昼間夜間で見づらさを強く感じる場合は、この数値に3~4段階以上の差が生じてきます。機能性レンズで見え方が改善出来る場合は機能性レンズで対応、それでも難しい場合などは昼間・夜間時での度数の使い分けをおススメしていきます。(実際に暗所で測定をして必ず機会と実測値の整合性をとっていきます)

「視力測定での視力は良いのに見づらさを感じる」と訴えられる方の多くは昼夜の散瞳・縮瞳時の度数変化が大きいことが原因です。しかし、OPD-SCANⅢの様な機器を使わないと、それらを理解することは難しいです。


*他所でこのような話をしても理解をされないのは、こういったことを頭では理解出来ていても具体的に数値としてどれくらい変化するのか?を把握できないことや、そもそもが知らない・・・といったことが原因です。従来の測定技法は先人が積み上げてきた素晴らしいものではありますが、時代の変化に伴って視る環境自体も大きく変化をしています。先人の知識を大切にしながら、テクノロジーを上手く利用し、日々アップデートしていかないと対応が出来ないケースが増えているのも事実です。




③最高視力がどの程度得られるのか?を事前に把握し、測定時に整合性をとる

上の図はStrehl Raio」という、その方の眼の解像力を具体的に数値化した値になります。メガネやコンタクトレンズを使用すれば、どなたも良好な視力を得られると思われがちですが、必ずしもそうではありません。白内障などの眼病が疑われる場合は、このStrehl Ratio値が低下する傾向にあります。Strehl Ratio値と実際に測定をした上で、やはり思うような視力が出ない場合は、眼科医さんの受診を強くお勧めしていきます。

私たちの役割の1つには「眼の保護・見え方の保護」にあります。事前に眼病が疑われる場合は、大事に至る前に、速やかに専門医への受診をおススメすることも大切な役割です。



上の図は、眼の中の網膜上に、視力1.0の視標が、どのくらい鮮明に映像が映っているのか?を表したものになります。人間の眼は完璧な光学性能を持っているわけではないので、どなたも必ず多少の滲みが生じますが、眼の中でどの程度鮮明に映っているのか?は最高視力値にも影響を与えてきます。この滲み具合や鮮明度は、個々で違ってきますので、滲みが少し大きい場合は、機能性レンズ(Zeiss Drivesafeレンズ等)が効果を発揮してくれます。

但し、極端に不鮮明に映っている場合は、眼内を光が通過して網膜に投影される前段階で像が不鮮明になる何かしらの問題を抱えている可能性がありますので、先に述べたように、その場合は眼科医さんの受診を強くおススメします。(strehl ratio値と連動させて確認していきます)

*また、機能性レンズに関して「効果が得られてすごく良い」という意見と「効果が感じられない」と言われたりすることがありますが、そもそも鮮明に見えている方には機能性レンズの見え方を改善する効果は実感しづらい傾向にあります。だからと言って見え方改善効果が無いわけではありませんが、効果が実感しづらいので「あまり効果を感じない」という結論になりやすくなります。また違うケースでは、個々で見え方の原因も違い、また機能性レンズの機能もここに違いがあります。見え方の原因と、機能性レンズの性能がマッチしていれば効果を得られますが、マッチしていない場合は効果を得づらくなります。よく「〇〇レンズは個々で見え方効果の感じ方が違います」と言われるのは、こういった事が理由です。



今回は一部ですが、波面収差測定機を利用したデータについて、ご紹介をさせて頂きました。


このように、科学的に深いレベルで測定することで、言葉に出来ないような見え方の不満感や、原因を探っていき、メガネ度数の測定・作製に反映をさせていきます。


また当店で取り扱っているレンズに関しても、これ等のデータを参考にした上で「どのようなレンズが本当の意味で見え方の改善に役立つか?」を熟考した上で選定しています。


OPD-SCANⅢを導入してから本当の意味で「皆さんに役立つレンズは何か?」という基準が今まで以上に厳しくなりました。


各メーカーに問い合わせ、自身で確認を繰り返し、個々のレンズの良い点・苦手な点などを総合的に判断をしながら把握し選定をしています。


これも当店は、「見る」ことは体の一部であり、皆さんが日々を健康で明るく過ごされる上でも不可欠なものだと考えているからです。


皆さんの健康や日々の暮らしに関わることだからこそ、皆様の生活を損なうことのないように、プロとしての責任をしっかり果たし、またお悩み等があれば少しでも多く解消・解決し、お手伝いすることが私たちの仕事だと思っています。


見ることで困られずに、皆さんが日々変わらず「健康で明るく暮らして頂ける」ことが大きな「目的」であり、そのお手伝いができれば、それが私たちにとっても何よりの喜びでもあります。






当店では、最新の測定解析装置を使い、通常の測定では分からない見づらさの原因なども探り、尚且つ、ドイツ式・米国式と両方の「両眼視機能検査」で見る機能を詳細に測定をしていきます。何処に行っても原因が分からない見え方でお困りの方は是非ご相談いただければと思います。またより正確なメガネをお作りしたいとご希望の方もご相談ください。


このような情報が、少しでも皆様のお力添えになれば幸いです。


〜ご来店予約について〜

【電話予約】 営業日の 10:00〜18:00 の時間でお受けしております。 検眼中などは電話に出られないこともございますのでご了承下さいませ。 ご来店希望日の当日または前日にご連絡いただく場合は必ず【電話予約】でお願いいたします。

メガネの尾沢Tel : 0531 - 22 - 0358


「夜間の見え方を完全再現する特別測定」をご希望の方へ

夜間の見づらさに困られていらっしゃる方で、完全暗室でより正確に測定をご希望の方は時間外営業時間の「19:00~21:00」の時間帯での特別測定も承ります。お日にちでご希望に添えないことなどありますので必ず事前の予約をお願い致します。

また時間外測定料金として眼鏡作製時でも¥3300-を別途頂きますのでご理解お願い申し上げます。

 

【メール予約】 メールでのご予約は当ホームページ内にある「お問い合わせ」フォームからお受けしております。必要事項を入力していただいて送信してください。 送っていただいたメールの確認ができましたら返信させていただきます。 眼鏡ご購入のご相談の際に視力検査をご希望される場合は明記していただけると幸いです。


 

 

メガネの尾沢(尾沢視覚研究センター)

 

住所:愛知県田原市田原町新町48-2 

Tel : 0531 - 22 - 0358

 営業時間:9:00~ 19:00

定休日:火曜日・第4日曜日

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